第33回JC青年の船 『とうかい号』

洋上研修を終えて

箕浦 和則

 初めての船上での生活と知らない人ばかりの人間関係という思いの中、この「とうかい号」への期待と不安を抱き、6月10日という乗船の日の朝を迎えたのですが、名古屋港で1つの大きな建物の様な船を見上げたときに話には聞いていましたが、まずスケールの大きさに驚かされ、同時にこの洋上研修におけるなんとも言葉にしにくい思いを感じました。日本を出国する際に激励のため集まってくれた大勢の人々、初日には、船酔いのため400人中150人もの人が体調不良でリタイヤしてしまい船内慌ただしい時もあったり、見渡す限りの青い海、その水平線にかかる朝日や夕日の美しさ、夜空のいっぱいの星には心が癒されるようでしたし、ようやくサイパン島が見えたときの感動、現地のチャモロ人と一緒になって盛り上がった暑い海辺での運動会、あんなに楽しいスイカ割りは今までで初めてでした。そしてサイパン島を離れるときの寂しさ、様々なパーティ−や講義、その間をぬって行われるチームとしての取り組み、研修期間を通じての規律ある生活、メリハリのある行動、共に生活してきた仲間との別れ、予想していなかった入国の際の大勢の方々の出迎えなど。いろんなことがありましたが不安はすぐになくなり、大勢の方々のおかげで、期待を裏切ることなく8日間を過ごすことができました。その間のことを順に伝えようと思います。

まず研修では、岡村精二講師団長を始めとする4名の講師の話は、今までに聞いたことのないような心に響くものでした。自設計自作のボートを用い山口県の宇部港からアメリカのサンフランシスコ港までの航海距離約10,000kmの太平洋単独横断を行った際の苦悩や挫折、航海を支えてくれた思いを語っていただいた講義では、夢を持つことの大切さを学び、左手に障害があるにも関わらず、それを微塵も感じさせないでバイオリンという楽器を使い戦争の悲惨さ、平和であることの幸福感、そして自己の人生についての訴えのようなの講義には、考えさせられるものがあり、エニアグラムという手法を用いて各々の気づいていないような長所、短所など特性を分析そして把握し、人との接し方を見つめ直すという講義では、人にはそれぞれ個性があり、それに伴い人間関係において適した役割があるのだということを気付かされました。また、講義において人間関係で重要な第一印象は6秒で決まり、それは話し方、性格なんかではなく、それらが分かる目で決まるということや、当たり前の言葉ですが、「今やれなければこの先一生やれないだろう」など、ちょっとした心がけが大切だということを教わりました。なかでも、成功人の必ずしている3つのことと教えられたことは、今後の私の教訓にしようと思います。1つ目は、対人間の話において、相手の言葉に対し「しかし」という反対的な言い方で返すのでのではなく、人間は認められたい生き物なので「なるほど」と認めたうえで、自分の意見を伝えるということ。その方が同じことを伝えるにしても相手の自分に対しての見方は断然後者の方が良いという心理的なこと。2つ目は、ネクラではなくネアカであれということ。例えば、「〜だから。」と他人のせいにするのではなく、「〜だからこそ〜。」と自分に責任を持ち、常にプラス思考を持つ考え方。後ろ向きな人間には誰もついていこうと思わないから絶えず気持ちを前に持つということ。3つ目は、書くということ。自分の願いや夢、そして計画などを紙に書き、トイレや玄関のような毎日目に入ってくるところに張っておき、そして1日1回以上声を出して読む。そうすることより、自分の中での思いが強くなり、周りの認識もそうなっていき実現しやすくなるという行動。この3つは自己の考え方が言葉の節々に表れることを表現したもので、成功するか否か関わらず、自己を強く持つという面でとても大切なことであると思いました。

 次に国際交流では、私はサイパンに初めて上陸したわけですが、以前は日本人が国の90%を占めていたり、戦争の際に戦場になり、人が大勢亡くなったりなど日本に深い関係があることを知りました。バンサイクリフなど戦争の形跡を見学し、改めて戦争の惨さ、平和であることの喜びを感じることができました。船のデッキでのパーティーや海辺での運動会、スイカ割りを通じての現地チャモロ人との交流は自分の語学力のなさを痛感するものでした。コミュニケーションをとる際、お互いを理解しようとする気持ちがあるもののそれができない悲しい体験でした。また、留学などしている外国人もこの洋上研修を共にしていたのですが、ところどころで私たちとの考え方の違いがあることを肌で感じることが出来ました。

また26〜27人を1チームとして行う様々な取組みでは限られた時間の中で話し合い、物事を決定していったり、一つの作品を作り上げることの難しさそして団結することの重要さを痛感しました。はじめのうちはお互いに面識があまりないためか、どこか1つのチームとしてのまとまりに欠けていたと感じましたが、時間が経ち個々の意見をぶつけ合うことでいつの間にか団結力ができていった気がします。その中で、自分一人では到底成し遂げられないようなこともお互いが一つの目的を共有して、力を出し合い協力することにより解決していくことのすばらしさを感じました。チーム毎で行うフェスティバルで発表する5分間の作品を作るにあたり、フローチャートをつくる者、シナリオを練る者、音響や照明を考える者、仲間の調子を気に掛ける者など個性や考え方は様々でしたが、1つの良い作品を作るという目的を持ち、それぞれが妥協することなく幾度となく話し合い、練習をする中、お互いに役割を果たし、助け合うことで限られた時間でしたが、みんなが納得する作品を生むことができました。その結果、得られた興奮や喜び、感動、熱い思いは最高のものであり、その気持ちを分かち合える仲間の重要さを痛感しました。そして同時に意見を言い合うことのできる今後の人生においても大切な仲間を得ることができたことをうれしく思います。

このようなことを行った研修の8日間を通して、分単位でぎっしり組まれているスケジュールには、はじめは面食らいましたが、慣れてきたころ、その時間よりも事前に準備をしてくれているスタッフの苦労は大変なものであると気が付きました。そして時間を守ることの必要性、守らなかった際に他の人への迷惑がついてまわり、400人もの団体行動において様々なルールがとても大切であることが再認識できました。また1つの目的へのプロセスや、価値感や、考え方、日常において携っている仕事なども違う仲間にこんなに多く知り合い、対話できたことにより自分の見ている見解をより広げられました。そして良い対話をするにあたって自分の意見とは異なっていても、他人を理解しようとする気持ち、他人を思いやるこころが必要不可欠であることを身をもって体験できました。また、自分と異なった様々な考えを持つ仲間と数多く対話できたことにより、日々あわただしく生活している日常生活の中では、なかなか見つめ直すことの出来ない自分自身のことを船上という特殊な空間の中において向き合うことができ、今まで知らなかった自分というものを発見することができました。同時に、大勢の人の中においても自分という個をちゃんと持って、行動又は意見する積極性を忘れないよう心がけたいと思います。この研修に参加したことにより日常における様々なことを見つめ直すことができ、自分自身の価値感を変える転機となるような貴重な経験をさせていただき、そして私は大勢の人に支えられて生きているということに気付くこともでき、本当に有意義なものとなりました。このような乗船しなければ得ることの出来なかった思いを忘れず、周囲の人々に伝え、今後の人生で生かしていきたいと思います。

8日間の洋上研修を終えてはや1週間ほど経とうとしている今、振り返ってみるとこのような充実感のある研修をおくれたのも、影ながらに寝る間も惜しんで運営していただいた「とうかい号」に関係されたスタッフの方々、乗船にあたり多大なる協力と激励をいただいた羽島JCの方々、乗船中なにかときにかけていただいた石原様、後藤様、心よく乗船させていただいた職場の方々、そして家族、共に乗船した仲間に支えられできた経験だと思います。私は、この乗船を経て様々な方々の助けがあり日々生活しているということを再認識できました。最後に貴重な経験をさせていただきありがとうございましたという感謝の気持ちを携わった皆様に伝えたいです。








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